日々の喜怒哀楽を綴ります。

ペケ。

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夢売るふたりを観た。「金返せ」と何度叫びたくなったか(怒!)。すべてが中途半端である。やっと軌道に乗った店が火事で焼けた時も、その再建を期して夫婦で「結婚詐欺」を繰り返す葛藤も、「詐欺」のつもりが相手の事情にほだされてのめり込んでいく姿も、妻(松たか子)と夫(阿部サダヲ)の喧嘩も、夫のセックスも、妻のオナニーも。そして「中途半端」の極めつけは、夫が刑務所で虚空を見上げ妻は港で黙々と働く、というエンディング…お前ら何を売ったん?!--問い糾してやりたくなった。
おそらく「男と女」「都会の孤独」「価値の喪失」等というテーマ群を「詐欺」という意外性の中に折り込んでみたかったのだろう。しかし、絶望も怒りも、もっといえば、復讐も快楽も、この監督は知らないのだ。極限の修羅場を経験したことのない優等生のイイ子ちゃんが、二次資料の斜め読みだけで書いたような脚本。そして、その弱点を役者の演技力で補おうとしたのだけれど、演出はすべて裏目に出ている。人間の内面や心理描写は「目と目力」にだけ現れるのではないのだよ、西川君…。
楽しくも悲しくも怖くも嬉しくもない。泣けない、笑えない。エロもグロも、ましてや、悪でも正義でもない。異化も同化も起こらない。風景が見えない中で、人物だけがやたらと饒舌だ。全編に漂うのは、羅列された希薄な「生」--この映画は、現在の「日本および日本人」の見本であり、「日本映画のダメさ加減」の手本である。ある評者は「そこには西川和美監督本人における、人間性への深くて暗く皮肉に満ちた洞察が潜む」(パンフレットの一文より)と書いたが、失笑噴飯、笑止千万。

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