日々の喜怒哀楽を綴ります。

大阪拘置所と「差し入れ屋」

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拘置所と刑務所はどう違うか?刑務所は、刑が確定した犯罪者を収監する施設で、未決拘禁者(裁判中の被疑者や刑事被告人)と刑が確定した「移送待ち受刑者」、そして死刑確定者が拘置所に収容される。
冤罪と人権侵害の温床だとされる「代用監獄」(*1)制度もさることながら、死刑制度も、私たちの日常生活の中で話題になることはほとんどない。なのに、凶悪犯罪が起こる度に「世論」は「極刑を」と求める。辺見庸は「刑場の1メートル四方といわれる鉄の踏み板がいきなりパーンと二つに割れ、つないだ麻縄がぴんと張りつめて、頸骨を粉々に砕く音。瞬間、脚は宙でヒクヒクと痙攣し、まるでおかしな空中ダンスを踊るようになるといいます」(*2)と死刑執行の瞬間を描写しながら、「自身の半身の不随と絶望的に深い麻痺の感覚」に重ね合わせたそうだが、私たちが「死刑」の現場を想像することなど皆無に近いことだろう。
大多数の思考と想像から常に抜け落ちている「死刑」が、この建物の中で行われている(*3)。大阪拘置所(大拘)に観光バスが来ることは、これまた皆無だ。正門の近くには「放免屋」「差し入れ屋」が数件あって、朝の面会時間が近づくと、大勢の人々が買い物をしている。壁の向こうにいる人々と壁の外にいる私たち…思考と想像の材料はいくらでもある。

*1)法律上、警察に逮捕された被疑者は3日以内に裁判官が勾留を決定すると、拘置所に移される。そこで最大10日間(更に10日間、特殊な犯罪の場合には15日間延長が可能)拘禁される。しかし、監獄法が「警察官署に附属する留置場は之を監獄に代用することを得」と定めているため、被疑者は警察の留置所に入れられたままの状態になる。これが世界中で日本にだけ存在する「代用監獄」制度である。
*2)『自分自身への査問』(2006年、毎日新聞社)P.12
*3)その他、東京、名古屋、広島、福岡の各拘置所と、札幌、仙台の各拘置支所に死刑執行施設(刑場)がある。

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