日々の喜怒哀楽を綴ります。

声体文藝館『泥の河』(2)

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喜ちゃんと銀子ちゃんが帰った後、晋平が貞子にポツリと言う--
「あの子の唄聞いてて、満州のこと思い出しとったんや。なんべんもなんべんも、まぁ、死んでしもたような目に遭うてもや、絶対生きて日本に帰ったる、そない思いこんで、どうやらこうやら、まぁ、やっとこさ日本に帰ってきてもや、なぁ、馬車屋のおっちゃんやら、あの今のほれ、喜ちゃんのおやっさんみたいに、なんや、まぁ、スカみたいに死んでいきよる。もう戦争はこりごりや言うといて、なぁ、隣の国の戦争で銭儲けして、周りはどんどん、どんどん立派になっていきよんのに、生きとっても、やっぱりスカみたいにしか生きられへんのかな、ワイら…」
物語の"重い"テーマである。