日々の喜怒哀楽を綴ります。

笑えない Smile Of Chaplin

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Smile Of Chaplinを観たが、看板に偽りあり、「劇」でも何でもない。羊頭狗肉とはこのことだ。制作側の良心的意図とは裏腹に「乾涸らびたチャップリン」「博物館行きのチャップリン」の羅列を見せられたので、腹が立った。「劇」はド新劇で歌は添え物。何よりも、チャップリンの芸の神髄である「道化」が毫も反映されていない。いや、おそらく、役者がそれを演じられなかったのだろうと推測する。聞けば、主人公は日本を代表するミュージカル・スターだとか。事情に疎い俺は「なんでこんなに女性客が多いのか」と訝ったが、要するにそれ目当ての興業で、あの程度で「トップ」とは…嘆かわしい。『独裁者』の旺盛な批判精神、『モダン・タイムズ』の諧謔、生前ピカソが「老けるな!」と批判したという『ライム・ライト』のペーソス、『キッド』の眼差し、『殺人狂時代』の反語…等々、舞台に生きる者のみならず、よりよく生きたいと思う人間全てが共有すべき宝が豊富に、ありすぎるほど此処其処にあるチャップリンの映画群。人間礼賛と反権力を貫いた彼を持ち上げて何とする!チャップリンを愛するが故にチャップリンを貶めた作者への猛省を促す。「壮大なゼロ」への溜め息と沢山の「反面教師」を得た一夜だった。その意味で、多謝。