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Vicious Circle of RACISM...

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ガザ戦闘:イスラエル批判が反ユダヤ主義に 西欧に兆候

イスラエルのガザ攻撃を批判するデモ参加者=ベルリンで2014年7月25日、AP
パレスチナ自治区ガザ地区を巡るイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘激化に伴い、西欧諸国で反ユダヤ主義台頭の兆候が表れている。ガザの民間人に多大な犠牲が出ていることを受け、イスラエルの軍事作戦に対する抗議行動が、一部でユダヤ人への憎悪につながっているためだ。ナチス・ドイツにホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を許した第二次世界大戦の終結から70年近くを経て、新たな反ユダヤ主義の高まりに欧州指導者たちは頭を悩ませている。【ベルリン篠田航一、パリ宮川裕章、ロンドン小倉孝保】

反ユダヤ主義に最も神経をとがらせてきたドイツでも7月以降、「ひきょうなユダヤの豚」「ユダヤ人をガス室に送れ」などと叫ぶ抗議デモがベルリンなどで頻発。西部ブッパータールでは7月29日、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。捜査当局はシリア系の青年ら2人を逮捕した。また、イスラム団体の指導者がユダヤ人殺害を呼び掛けたとして、刑事告発される騒ぎもあった。

ドイツでは第二次大戦でナチスがホロコーストを引き起こした反省から、特定の民族の中傷やナチスの賛美は民衆扇動罪の対象となる。昨年10月には東部クラウシュビッツの元首長がインターネット上で「ホロコーストを否定するのも人権のうちだ」と表明し、裁判所から罰金3000ユーロ(約41万円)を言い渡されるケースもあった。

フランスでもユダヤ批判は法律の規制対象。7月13日にパリで行われた数千人規模の反イスラエル・デモでは、一部グループがシナゴーグに押し入ろうとしてイスラエル支持者と衝突した。20日にはパリ郊外のユダヤ系住民の多い地区で、若者が「くたばれイスラエル」と叫びながら店舗を襲い、ゴミ箱に放火。23日にもパリのユダヤ人街で、反ユダヤ的な言葉を叫んでレストランに侵入した16人が警察に逮捕された。

「イスラエルのガザ攻撃が英国で反ユダヤ主義を台頭させている」。パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍の空爆などで民間人被害者が激増する中、英国のハモンド外相は地元紙でこう語った。政府幹部からイスラエルの自衛権を強調する発言が続く英国だが、外相は「イスラム教徒だけでなく多くの英国民が、ガザの民間人被害は限度を超えていると考えている」と指摘。反ユダヤ主義と受け取られることを避けながらも、高まるイスラエル批判を考慮せざるを得ない英政府のジレンマを露呈した。

イスラエル批判が「タブー」(独誌シュピーゲル)になっているドイツでも同様の現象が起きている。メルケル首相らは「イスラエルには自衛の権利がある」との見解を繰り返しているが、同誌によると先月下旬の連邦議会外交委員会では「イスラエルの攻撃は度を越している」との批判が出た。

フランスのオランド大統領は先月14日、「イスラエルとパレスチナの抗争が、反ユダヤ主義の口実に使われてはいけない」とくぎを刺したが、懸念は現実になった。「中東の紛争をフランスに持ち込むことは許されない」。大統領は18日、ガザ情勢が自国社会の分裂につながることに強い懸念を表明した。親イスラエル派と、イスラム教徒などを中心とする反イスラエル派の対立が、フランス社会の一体性を乱しかねない恐れが高まったからだ。

バルス仏首相も21日付パリジャン紙で「フランスにはイスラエル人もパレスチナ人もない。フランス市民だけだ」と危機感をにじませた。政府はデモ禁止の措置もとったが、かえってデモ隊と治安部隊との衝突につながるなど、社会不安につながっている。

◇反ユダヤ主義
ユダヤ人への偏見、憎悪、迫害などの思想と運動。古くは聖書時代にみられるが、欧州のキリスト教社会では中世以降、「キリスト殺し」の偏見からユダヤ人への迫害が行われた。近代ヨーロッパでは政治利用され、19世紀には反ユダヤ主義の政党がドイツ、フランス、オーストリアで結成された。最も極端な例は、ヒトラー率いるナチス・ドイツによるユダヤ人根絶のための大量虐殺(ホロコースト)。
※写真は「イスラエルのガザ攻撃を批判するデモ参加者=ベルリンで2014年7月25日、AP」

(以上、『毎日新聞』8月4日より)